第1条(目的および適用領域)
1、本条約は、地球周辺軌道環境の長期的安定性を確保し、宇宙空間における人類活動の持続的発展を可能とすることを目的とする。
2、本条約は、軌道領域における物体の運用および関連行為について、その影響を最小化し、不可逆的な機能低下および軌道環境の崩壊を防止するための実装規範として適用される。
3、本条約は、前項の目的を達成するため、軌道上における物体の運用および関連行為に関し、必要な基本原則を定めるものとする。
4、低軌道(LEO)から中軌道(MEO)下限にかけての領域は、軌道環境管理の対象領域として定義する(以下「対象軌道領域」という。)。
5、前項に定める対象軌道領域においては、デブリ発生の抑制および既存物体の適正管理を最優先事項とする。
6、対象軌道領域において行われる衝突、破壊、その他軌道環境の安定性および継続的運用を損なう一切の行為は、これを禁止する。
7、対象軌道領域の範囲は、観測および記録に基づき、軌道環境および物体分布の変化に応じて、評議会の決定により見直されるものとする。
第2条(観測)
1、対象軌道領域における環境の安定性を維持するため、すべての締約主体は、当該領域に存在する物体およびその挙動について、継続的な観測を行うものとする。
2、観測の対象には、運用中の航宙機、非稼働物体、ならびにその破片を含むものとし、その位置、軌道、状態および挙動に関する情報を把握するものとする。
3、観測は、軌道環境の維持および運用判断のための基礎データを生成する行為として位置付けられる。
第3条(記録)
1、前条に基づく観測の結果は、軌道環境の維持および安全確保のため、評議会により定められた基準に基づき記録されるものとする。
2、当該記録は、物体の状態および挙動の履歴として保持され、評価、運用調整および関連する判断の基礎情報として参照される。
3、記録は正史データとして扱われるものとし、その改変および上書きは評議会の定める手続に従うものとする。
第4条(環境維持)
1、すべての締約主体は、本条約およびこれに基づく運用指針を遵守する義務を負う。
2、軌道投入および関連運用に際しては、所定の推進効率基準および品質規格を満たす推進系のみを使用するものとする。
3、当該基準および規格は、観測および記録に基づき、評議会の多数決により決定される。
4、供給者は当該決定に基づき資材および技術を提供するものとし、これに適合しない主体は供給対象から除外される。
5、本条約は軌道環境の物理的安定性を最優先とし、個別主体の利益よりも全体システムの持続性を優先する。
第5条(評議会)
1、本条約の運用に関する事項を審議し、必要な基準および指針を定めるため、条約参加主体の代表から構成される評議会(以下「評議会」という)を設置する。
2、評議会は、各締約主体につき一名の代表により構成され、各代表は一票の議決権を有するものとする。
3、軌道領域規格(OER:Orbital Environment Region)の設定または変更その他特に重要な事項については、全会一致をもってこれを決する。
4、前項に定めるもののほか、軌道環境に重大な影響を及ぼす軌道環境標準(OES:Orbital Environment Standard)の設定または変更については、出席代表の3分の2以上の賛成を必要とする。
5、上記以外の事案については、出席代表の過半数による多数決をもってこれを決する。
6、評議会は、観測および記録に基づき、軌道環境の維持および安全確保に必要な基準、規格および運用指針を定めるものとする。
7、前項に基づき定められた基準、規格および指針は、すべての締約主体および関連供給者に対して適用されるものとする。
第6条(補則)
1、本条約は、軌道環境の物理的変化および技術的進展に応じて、評議会の決議により改定されることがある。
2、本条約の解釈に疑義が生じた場合、評議会における合意解釈を優先するものとする。
3、本条約は、他の全ての運用規範および個別契約に優先する基準として適用される。